Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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ガレクチン-8: 構造から機能へ
Yaron R. HadariMiri EisensteinRina ZakutYehiel Zick平林 淳
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1997 年 9 巻 45 号 p. 103-112

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抄録

われわれは最近、ガレクチン家系に属する新しい哺乳類レクチンをクローン化し、これをガレクチン-8と名づけた(Hadari et al., 1995)。ガレクチン-8は約140アミノ酸からなるドメイン (糖鎖認識ドメイン: CRD) を2つ持った35kDaのタンパク質で、2つのドメインは約30アミノ酸からなるリンクペプチドで連結されている。ガレクチン-8は肝臓、心臓、筋肉、腎臓、脳など広い組織にわたって発現ている。天然の状態ではガレクチン-8は単量体として存在し、未知の細胞成分と強く結合している。ガレクチン-8では、糖結合部位の一部を形成しすべてのガレクチンで保存されているArg残基が、C-末端側ドメインでは保存されているが、N-末端側ドメインではIle90に置き換わっている。この置換によって、N-末側CRDの表面状態はより疎水的になることから、疎水性の高い糖鎖に適応したCRDとなっている可能性がある。このように、ガレクチン-8の2つのCRDは異なる構造を持つことから異なる糖と相互作用すると予想される。ガレクチン-8は、2つの異なるタイプの複合糖鎖と結合することのできるユニークな二重機能性の哺乳類レクチンと言えよう。

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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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